平安ロマン号

地域バス 平安ロマン号

地区内斜面

活動実施の背景、実施にいたった理由

地元地域のイベントに施設利用者と参加させていただいた際に、住民より、「この地域はバスの運行も少なく、バス停の立地も斜面にあるので、高齢の住民は交通の便が悪くて困っている」とお話を伺った。

当施設のある、宇治市白川区は茶園の広がる、自然に囲まれた地域である。高齢者が多く、高齢者世帯、一人暮らしをされている方も少なくない(白川区の世帯数 633、総人口 885、宇治市の高齢化率 21.7%)。市街地には車で 10 分と決して遠くはない環境ではあるが、長い坂道をこえていかねばならず、公共交通機関はバスのみである。そのため、タクシーを利用して外出される方が多く、往復の利用料金が経済的負担ともなり、外出の機会が自然に減ってきている。

同じ地域にある福祉施設として、何か協力できることはないかと、その後、話し合いの場をもち、白川明星園の公用車を地域の送迎バスとして活用できないか検討を開始した。

実施内容

住民のニーズの把握のため、送迎バスが必要な曜日・時間帯、外出先などを調査するためのアンケートを地元の福祉委員の協力のもと実施した。多くの方が買い物に困っておられた。また、交通の要となる駅まで行ければ、外出の幅が広がるといった声も多かった。こうしたアンケートの結果から、送迎バスの運行日、時間を決めた。自宅からバス停までの移動が負担となっていることもあり、送迎バスの乗合場所を区内3か所に定め、区内のどの方も利用しやすいように設定し、送迎先はスーパーと駅の2か所とした。住民にとっても施設にとっても初めての試みであったため、3か月間を試行期間として運行を開始した。運行から2か月、大きな問題もなく、実施できており、平成 21(2009)年6月に送迎バスの運行が正式27に開始となった。バスの名前は当初お話を伺ったイベント名から取って「平安ロマン号」となり、毎週火曜日に運行し、お正月など連休も関係なく、地域の足として3年間休まず運行してきている。

活動効果(利用者や職員、地域などの反応、影響)

毎週5~6名の住民が利用され、運行を重ねていく中でこの毎週火曜日の送迎バスの車内がお互い顔を合わせる機会となり、車内ではお話が弾み、移動サロンのようになっていった。運行から半年、地元地域との交流会を開催し、バス運行での課題がないかを確認した。

こうした取り組みを行っていく中で、住民とのつながりができ、施設行事への参加、ボランティア協力も得られるようになった。

利用者はバスの運行に合わせ、定期の受診やおでかけの予定を組むなどご自身の生活を組みたてていかれるようになった。中には当初バスを利用していたが、利用が途端になくなり、様子を伺いにいったところ、体調不良から外出できない状態を発見し、施設利用につながったケースもあった。

この方はデイサービスやショートステイを利用していく中で次第にお元気になられ、その後再びバスのご利用をはじめられた。一つひとつのつながりが新たなつながりを生み、地域の生活をお互いが支え合えるようになった。

今後の展開

運行開始から2年経過した平成 22(2010)年に、法人の後援会が組織再編され、法人内の拠点施設ごとに、明星園とともに地域の福祉をよくする会(以下「よくする会」)として近隣地域とともに福祉のまちづくりをめざす活動を始めた。バスの運行からつながりのあった白川明星園では、白川明星園のよくする会を 23(2011)年度に発足、その活動で意見交換をしていく中で、白川区は喜老会(老人クラブ)が機能しておらず、交流の機会が欲しいという声が多くあるとのことだった。

また、白川明星園のケアハウスの入居者も市内から離れた立地のため、外出の機会が少ない方も多い現状があった。白川区とケアハウスの入居者がともに活動していけるようなつながりができればと交流会を定期的に行う取り組みが始まっている。

また、お茶畑の広がる白川の特色を活かして、茶園でのお茶摘み体験イベント等も行うことができた。

当初は地元高齢者⇔施設のみのつながりであったが、次第にその輪は施設利用者、職員、よくする会会員へと広がり、活動の幅も広くなってきている。